音楽をポケットに:iPodが築いた革命の軌跡

Impress Watch / iPodと私。こんな風に使っていました
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2001年10月23日、Appleが世に送り出した携帯音楽プレイヤー「iPod」は、世界の音楽体験を一変させた。当時はCDプレイヤーやMDプレイヤーが主流だったが、iPodは「1000曲をポケットに(1,000 songs in your pocket)」というキャッチコピーと共に登場し、わずか5GBのハードディスクに膨大な音楽を収納できる点で注目を集めた。

初代iPodはMac専用で、FireWire接続による高速なデータ転送を特徴とし、当初は価格の高さやMac限定という制約もあり、すぐには大衆化しなかった。しかし2003年、iTunes Music Storeの開始とWindows対応iPodの登場により、急速にシェアを拡大。iTunesとの連携によって、音楽の管理と購入が非常に容易になり、iPodは爆発的な人気を獲得することになる。

2004年にはカラーディスプレイを搭載したiPod Photoが登場し、写真表示も可能に。2005年には動画再生に対応したiPod Videoが発売され、さらなる進化を遂げた。同年には、小型軽量な「iPod nano」と低価格で若者向けの「iPod shuffle」も発売され、用途やライフスタイルに応じた製品展開が広がった。

そして2007年、タッチ操作とWi-Fiを搭載した「iPod touch」が登場。これは事実上、iPhoneから通話機能を除いたものであり、iOSアプリやSafariブラウザ、YouTubeなどにも対応した。このモデルの登場により、iPodは単なる音楽プレイヤーではなく、マルチメディア端末としての性格を持ち始める。

iPodの隆盛は、Appleが2000年代に飛躍する足がかりとなった。しかしその後、スマートフォン、特に自社のiPhoneの普及により、iPodの役割は徐々に縮小。2014年にはiPod classicが販売終了となり、2022年5月にはAppleが「iPod touch」の販売を終了することを発表。これにより、iPodというブランドは21年の歴史に幕を下ろした。

iPodは、音楽の持ち運び方を変えただけでなく、Appleという企業のブランドイメージを決定づける存在だった。現在ではその役割をスマートフォンが担っているが、iPodが築いた「いつでもどこでも音楽と共にある」文化は、今も私たちの生活に息づいている。

iPodの歴史と代表モデル

モデル / 出来事特徴
2001初代iPod5GB、Mac専用、FireWire接続
2003iTunes Music Store開始 / Windows対応音楽配信とWindows対応で普及拡大
2004iPod Photoカラーディスプレイ、写真表示
2005iPod nano / iPod shuffle / iPod Video小型軽量、動画再生対応
2007iPod touch登場タッチ操作、Wi-Fi、iOSアプリ対応
2014iPod classic 販売終了HDD搭載モデルの終焉
2022iPod touch 販売終了iPodシリーズの完全終了

出荷台数について

Appleは公式にはすべてのモデルの正確な累計台数を毎年発表していたわけではありませんが、以下は主要な出荷データです:

  • 2001年(発売初年):約125,000台
  • 2004年:約830万台
  • 2005年:約2,280万台
  • 2006年:約3,970万台
  • 2008年(ピーク)約5,470万台
  • 累計出荷台数(2001〜2014年頃まで)約4億台以上と推定

iPodの出荷台数は2008年頃にピークを迎え、その後はiPhoneの普及と共に減少。特に2010年代以降はスマホとの競合により販売台数が激減していきました。

こちらに、Appleの「iPod」シリーズの代表的なモデルとその発売年をまとめた年表を示します。iPodは2001年に登場し、2022年の販売終了まで20年以上にわたり多くのバリエーションが登場しました。


iPodモデル年表(発売年順)

発売年モデル名特徴・補足
2001年iPod(第1世代)FireWire接続、HDD 5GBモデル。
2002年iPod(第2世代)Windows対応、タッチホイール採用。
2003年iPod(第3世代)Dockコネクタ初採用、薄型化。
2004年iPod mini(第1世代)小型アルミボディ、カラー展開。
iPod(第4世代)Click Wheel採用。
2005年iPod shuffle(第1世代)画面なし、USBメモリ型。
iPod mini(第2世代)容量増加(最大6GB)。
iPod photoカラー画面搭載。後にiPod(カラー液晶)として統合。
iPod nano(第1世代)miniに代わる薄型モデル。
iPod(第5世代)「iPod video」動画再生対応。
2006年iPod nano(第2世代)アルミボディ、カラー展開。
iPod shuffle(第2世代)クリップ型、小型軽量化。
2007年iPod classic(第6世代)HDD搭載、最大160GB。
iPod nano(第3世代)動画再生対応、スクエア型。
iPod shuffle(第2世代)カラーモデル追加。
iPod touch(第1世代)iPhoneベースのタッチ操作初搭載。
2008年iPod touch(第2世代)スピーカー・音量ボタン追加。
iPod nano(第4世代)加速度センサー内蔵、縦長に回帰。
2009年iPod shuffle(第3世代)音声コントロール「VoiceOver」対応。
iPod nano(第5世代)ビデオカメラ搭載。
iPod touch(第3世代)性能向上。
2010年iPod nano(第6世代)タッチパネル化、超小型正方形に。
iPod shuffle(第4世代)物理ボタン復活。
iPod touch(第4世代)Retinaディスプレイ、カメラ搭載。
2012年iPod touch(第5世代)Lightning端子、カラフルな筐体。
iPod nano(第7世代)ホームボタン付き、縦長デザインに回帰。
2015年iPod touch(第6世代)A8チップ、より高速に。
2019年iPod touch(第7世代)A10 Fusionチップ、最終モデル。
2022年iPod touch(販売終了)AppleがiPodの歴史に幕を下ろす。
補足情報
  • iPod classic:初期iPodの直系。最大160GBで、音楽大量保存向き。
  • iPod nano:デザインの変化が激しく、全世代通して人気が高かった。
  • iPod shuffle:超軽量・画面なし。ジョギングや運動時向け。
  • iPod touch:実質「電話機能なしのiPhone」。ゲームやアプリ使用も可能。
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