最新のTOP500(2025年6月発表)によると、米国カリフォルニアのローレンス・リバモア国立研究所に設置されたスーパーコンピュータ**「El Capitan」が、前回に続き世界ランキング1位**を維持しました。
このシステムは、AMD第4世代EPYCプロセッサとAMD Instinct MI300Aアクセラレータを搭載したHPE Cray EX255a構成で、1.742エクサFLOPS(Rmax値)を達成。コア数は1,103万9,616コア、消費電力は約30MWに達し、エクサスケール性能とエネルギー効率が世界最高レベルにあります。AMDのCEOリサ・スー氏も「情熱とパートナーとの協力が可能にした」と自信を示しています 。
2位は同じくAMD系の「Frontier」、3位はIntelベースの「Aurora」が続き、TOP3すべてが米国設置のエクサスケール機となりました。また、GPU/アクセラレータ利用型としては欧州「JUPITER」(NVIDIA Grace Hopper搭載)が4位に登場し、AIへの最適化が進む傾向を示しています 。
日本勢では、富士通の**「富岳」が健闘の7位**にランクイン。これは、かつて11期連続No.1だったGraph500分野でも優位を保つ実力を示しています。
注目の新顔として、さくらインターネットのクラウド型スーパーコンピュータ**「さくらONE」が49位に初ランクイン**。NVIDIA H100 SXM 80GB GPUを搭載し、LINPACKで33.95ペタFLOPSを達成。これは2019年に同社が保持していた「世界54位(3.71PFLOPS)」から飛躍的に性能アップした成果です。
このランキングは、スーパーコンピュータの処理性能を測る世界的指標「TOP500」で、政府系や研究所に限らない「クラウド型」も含めて多様化が進んでいることを示します。
総じて、AMDプロセッサを核としたエクサスケール時代が到来し、日本国内からは富岳に続き、クラウド型の「さくらONE」も国際競争に名乗りを上げた格好です。
「さくらONE」とは?
- 開発元:さくらインターネット研究所およびグループ会社プラナスソリューションズ
- 構成:NVIDIA H100 SXM 80GB GPU搭載、クラウド型スーパーコンピュータ
- 性能:LINPACKベンチマークで33.95 PFLOPSの性能を記録
- 用途:生成AIや大規模言語モデル(LLM)などのAI研究・開発向けに最適化
- ランキング歴:2019年に54位(3.71 PFLOPS)→今回49位(10倍超の性能向上)
- 意義:「クラウドで使える高性能スパコン」として、産業・医療・金融など幅広い分野のAI推進を支えるインフラに位置付けられています。