世界中のデジタルインフラを脅かしてきた「うるう秒」が廃止され、数百年単位でまとめて調整する「うるう時間」への移行が進められています。地球の自転速度のゆらぎに合わせた微細な時間修正が、現代の精密なIT社会の安定運用に向けて大きな転換点を迎えています。
見直しの最大の理由は、ITシステムや通信ネットワークにおける大規模障害の回避です。協定世界時(UTC)と地球自転による天文時の差を補うため突発的に「8時59分60秒」などを挿入する従来の仕様は、金融取引や航空管制、サーバーの時刻同期に誤作動をもたらす重大なリスクとなっていました。
過去には2012年のうるう秒挿入時に、大手SNSや航空会社の予約システムがダウンするなどの実害が発生しました。MetaやGoogleといったIT大手も廃止を強く訴えており、2022年の国際度量衡総会(CGPM)において、2035年までにうるう秒の挿入を一時停止することが正式に採択されました。
社会全体のデジタル依存度が高まる中、秒単位の頻繁な手動調整をやめ「うるう時間」という巨視的な枠組みへ舵を切る判断は極めて合理的です。正確な時を刻むこととシステムの安全稼働を両立させるこの歴史的変革は、デジタル社会の信頼性をより強固なものにするでしょう。
ネット上の声5選
- 年末年始や月替わりのタイミングで待機を強いられていたサーバー管理者やITエンジニアにとって、廃止は朗報でしかない。
- 過去に航空管制や大手Webサービスで実際に障害が起きていたことを考えると、システム安全を最優先にした妥当な決断だと思う。
- 「うるう時間」となれば何百年も先の話になるため、自分たちが生きている間は実質的に時計の強制調整が不要になるのか気になる。
- 地球の自転という自然現象の揺らぎと、1ミリ秒の狂いも許されない精密なデジタル社会の調和の難しさを改めて実感した。
- たった1秒が挿入されるだけで世界規模の通信障害を引き起こしかねないほど、現代社会が時間同期に依存している事実に驚いた。
(※引用ではなく、Web上で目立った論調・感想をまとめたものです)
うるう の豆知識5選
- 「うるう(閏)」という漢字は門の中に王が入る形をしています。古代中国において、暦の調整で生じる余分な月に王が門内に留まり政務を休んだ習わしが語源とされています。日常の枠組みから外れた特別な余剰期間を象徴する、極めて長い歴史と奥深い文化的背景を持つ言葉です。
- うるう年は4年に1度と思われがちですが、西暦年数が100で割り切れ、かつ400で割り切れない年は平年になります。地球の公転周期である約365.2422日に合わせるためです。西暦2000年はうるう年でしたが、2100年は平年となり長期のズレを防ぎます。
- 2月が28日(うるう年は29日)と極端に短いのは古代ローマ暦の名残です。当時の暦は現在の3月が1年の始まりで2月が年末だったため、日数を配分した最後の余りで調整されていました。この古代の歴史的経緯が、そのまま現代の世界共通の太陽暦に引き継がれています。
- うるう秒は1972年の導入以降、およそ30回近く実施されてきましたが、実は1秒を引く「負のうるう秒」は一度も適用されたことがありません。地球の自転速度は潮汐摩擦等で緩やかに遅くなる傾向があったため追加のみでしたが、近年は加速現象も見られ議論を呼びました。
- 太陰太陽暦(旧暦)では、月の満ち欠けと太陽の公転による季節のズレを解消するため、約3年に1度のペースで丸ごと1か月を挿入する「うるう月」がありました。うるう月がある年は1年が13か月になり、「うるう5月」のように同じ月が2度繰り返されて季節を合わせていました。


