韓国のThe Elecによると、Appleは次期「iPad Pro」向けにディスプレイドライバーICをLG InnotekやLX Semicon製品へ切り替える検討を進めており、6月中に最終決定が行われる見込みです。このIC交換により、LGのCoF(Chip‑on‑Film)技術と組合せることで、従来よりもディスプレイ周囲にICを集約でき、ベゼルを極限まで薄くできると期待されています。
CoF技術はドライバチップをフレキシブルフィルム上で画面パネルに直貼りする方式で、ごく狭額のベゼル化や筐体の軽薄化、消費電力の低減にも効果があるとされます。これにより、同等の端末サイズながら表示領域が拡大し、バッテリー駆動時間の改善も見込まれるとのことです。
供給チェーン面では、Samsung System LSI一社依存から脱却し、LGやLX Semiconも活用すれば交渉力の向上とコスト競争力強化につながります。
さらに、Spotry.meのWeibo情報によれば、次期モデルのベゼル幅はSamsung「Galaxy Tab S10 Ultra」に近い超薄型になる可能性が高く、現在のM4モデルよりも更に狭額化が進むと予想されています。ただし、実装のタイミングについては不確定要素も残っていると注意もされています。
発売時期は2025年後半との見方が多く、AppleはM5チップ搭載モデルとしてリリースを検討中。サプライチェーンの準備も整い、量産体制にも入っているとの観測があり、Apple内部でも新技術への期待は高まっています。
このように、次期iPad Proは設計・表示性能・電池効率・視認性において大きく進化する可能性があり、ファン待望の変化が訪れる兆しといえるでしょう。
「極薄ベゼル」について
「極薄ベゼル」とは、電池・回路・コントロールIC等のディスプレイ周辺部を薄く設計し、見た目に額縁(ベゼル)がほぼ目立たない仕様のことを指します。
ベゼルの役割と薄型化の狙い
ベゼルはディスプレイを保護・支持する枠であり、従来は液晶やOLEDパネルを囲んで固定する役割を担います。しかしこの枠も画面一部であり、幅が狭いほど画面占有率が高く、デザイン的・没入感において有利です。
技術的な進歩:CoF(Chip-on-Film)技術
従来はフレキシブル回路やガラス基板端にドライバICを配置する方式が一般的でしたが、CoFではICをフィルム上に配置し、直接パネルに圧着。これによりICの配置領域を縁ギリギリにまで寄せることができ、実質的にベゼル幅を縮小、小型化・軽量化も同時に実現します。結果、高い消費電力効率や設計自由度も得られます。
他業界での応用例
デジタルサイネージ業界では、極薄ベゼル0.9 mmや1.8 mmのモニターが普及しており、多面連結したマルチディスプレイ環境でも継ぎ目が目立ちにくい映像一体感を提供しています。ただし、ベゼルが薄くなるほど保護性能が弱まるため、破損リスクと価格帯は高くなる傾向があります。
メリットとデメリット
メリット | デメリット |
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・表示領域が大きく、動画や映像視聴、創作作業に没入感 | ・物理的な耐久性が低く、衝撃に弱い |
・本体筐体を維持しつつ画面サイズを拡大 | ・高価であり、コスト負担が増える |
・省電力化によるバッテリー時間延長 | ・製造や接合技術に高精度を要する |
まとめると、「極薄ベゼル」は見た目の美しさと没入感の向上、軽薄化、電力効率改善などの利点を持ちますが、耐久面とコスト面でのトレードオフがある設計です。iPadやスマートフォンでもその恩恵は大きく、次期iPad Proではまさにこの進化が注目されているわけです。