Appleが、脳波や神経信号を活用してデバイスを操作する「ブレイン・コンピューター・インターフェース（BCI）」技術の開発に本格的に取り組んでいることが明らかになった。この取り組みは、単なるSF的な未来像ではなく、同社の近年の動向や特許申請、買収などから実現性の高いものとして注目を集めている。
BCIとは、脳の神経活動をコンピューターで読み取り、外部機器を操作する技術であり、脳波を利用して手や声を使わずにスマートフォンやAR/VR機器などをコントロールできる。すでに医療分野では、神経疾患患者向けに脳波で義手を動かす技術などが実用化されつつあり、Appleもこの潮流に加わろうとしている。
記事によれば、AppleはBCI分野において、医療・福祉分野だけでなく一般ユーザー向けのテクノロジーとしても応用する可能性を視野に入れているという。将来的には、iPhoneやApple Vision Proといったデバイスを、目や指を動かさずに脳の「意志」だけで操作することが可能になるかもしれない。
同社は過去に、脳波を活用したユーザーインターフェースに関する特許を複数取得しており、2021年にはBCI関連技術を持つスタートアップを買収。さらに、神経科学や生体信号処理の専門家を積極的に採用していることも報告されている。これにより、AppleがBCIの研究開発を単なる実験レベルではなく、製品化を視野に入れた本格的プロジェクトとして推進していることが読み取れる。
ARグラスやウェアラブル端末の進化とも密接に関わるこの技術は、将来的に視線入力や音声アシスタントを超える「第3の入力方法」として注目される。Apple製品がユーザーの「思考」を読み取り、直感的に操作できるようになる日もそう遠くないかもしれない。
現在のところ、Appleは公式にBCI関連製品を発表していないが、業界の技術革新が急速に進む中、近い将来、脳波操作によるApple製品の新時代が幕を開ける可能性がある。
