アップル創業者・スティーブ ジョブズが着用していたのは、高価な金無垢のロレックスではなく、わずか100 ドル台の Seiko「D031-4000」ドットマトリックス・デジタルウォッチでした。約1980年に登場したこの時計は、矩形ケース・大きな数字・シンプルなボタンという構成で、当時としては斬新なドットマトリックス表示と基本機能に絞った設計を備えていました。
ジョブズはこの時計を選んだことで、「少ない機能をより良くこなす」という日本的・禅的なミニマリズムの美学を体現していたとされます。彼が長く日本のデザイン思想を自身の設計哲学に影響させていたことも、時計の選択から見て取れます。
このD031の特徴は、たとえば「大きな時間表示」「補助情報は小さく」「操作ボタンはライトとセレクトの2つだけ」という明快な階層構造。ジョブズが後に打ち出す「1ボタンマウス」や「iPodのクリックホイール」、そしてiPhoneやApple Watchにまで続く“余計なボタンを削ぎ落とす”設計思想を先取していたとも言われます。
さらには、四隅を丸めた矩形ケースが、後のApple製品のアイコンやデバイスフォルム（例：スキュアール形状）とも共鳴するデザイン言語を予告していた点も興味深いところ。高価な素材や装飾で「見せる」時計ではなく、「使う道具＝美しい機能」を示すこのモデルが、まさにジョブズの掲げた「デザインとは見た目だけでなく、使い方である（Design is how it works）」という言葉を体現していたのです。
このように、目立たないデジタル時計ひとつからでも、アップル流のデザインDNAやジョブズの思想が透けて見えるのは興味深いですね。
SNS上の声5選
（※投稿の原文ままではなく要約・翻訳形式です）
- 「100ドルの時計を選ぶあたりがさすがジョブズ。値段じゃなく“何をやめるか”を知っていた」
- 「ドットマトリックスで大きく数字を出すって、昔のデザインなのに今見ても新しい」
- 「“使えるものを美しく”っていうのが、アップル製品の原点なんだなと再認識」
- 「あの時計がiPhoneやApple Watchにつながる設計思想の原型とは…驚き」
- 「高級志向じゃない選択がこそラグジュアリー。ジョブズの美学を感じる」
『Make Something Wonderful』の豆知識5選
- 本書は、スティーブ・ジョブズの言葉（スピーチ・手紙・インタビュー）を集めた遺稿集で、彼の思想・哲学に直接触れられる構成になっています。
- タイトルの “Make Something Wonderful” とは、ジョブズ自身の言葉「人類への敬意を込めて何かすばらしいものを作り、それを世に出す」が由来です。
- 本書の美術設計・デザインは、後に Jony Ive が設立したデザイン会社「LoveFrom」が手掛け、極めてミニマルな装丁でアップルらしさを反映。
- ジョブズはこの思想を、単なる製品づくりではなく「人々が何かを感じ、体験する道具をつくる」こととして捉えており、本書の内容もその延長線上にあります。
- 本書は無料のe-Book版も提供されており、ジョブズの言葉を広く人々に届けるためにデジタル公開されている点も注目。
