Apple(アップル)は、中国のスマートフォン大手・Oppo(オッポ)へ転職した元センサーシステム・アーキテクト、Chen Shi(チェン・シー)博士を、Apple Watchの健康センサー技術に関する企業秘密を「盗用しOppoへ流出させた」として、カリフォルニア州連邦地裁に訴えを起こしました。同時に、Oppoおよびその関連会社InnoPeak Technologyも共同被告とされています。
Appleの主張ポイント
- 極秘資料を外部保存
退職直前にChen氏はAppleの保護されたBoxフォルダから63件の機密文書をUSBドライブにコピーし、退社予定日の数日前に転職先であるOppoに情報を渡す準備をしていたとされています。 - 不自然な挙動と暗号の消去工作
Apple支給のMacBookから「MacBookを消去する方法」や「共有ドライブ上のファイルを開いたかどうか調べる方法」といった検索履歴も確認され、証拠隠滅の意図も疑われています。 - Oppoとの事前共謀も示唆
訴状によれば、Chen氏はOppoへの入社前から「できる限り多くの情報を集める」と本人が明言し、Oppo側の幹部から肯定的な反応があったとされています。 - 法的請求内容
Appleは被告に対し、企業秘密の使用・開示差し止め、資料の回収、損害賠償(懲罰的損害賠償を含む)、弁護士費用を求めています。
Oppoの反論
OppoはAppleの主張を全面的に否定。Chen氏が在職中に不正を行ったという証拠は見つかっておらず、「他企業の営業秘密を尊重しており、Appleのものも不正使用していない」と声明を発表しました。公正な司法判断を信頼するとし、協力を表明しています。
Appleを退職した有名元従業員とその転職先
今回のChen氏のケース以外にも、多くの注目すべき元Apple人材の転職事例があります:
- Mark Papermaster(マーク・ペーパーマスター)
2009年、IBMからAppleへ転職を巡り、IBMとの間で「企業秘密保護のための一定の猶予期間付き合意」が成立した有名なケースです。 - その他の近年の訴訟
- Di Liu:AppleのARヘッドセット「Vision Pro」の開発に関与していたデザインエンジニアで、設計情報をSnap(スナップ)へ持ち出したとして提訴されています。
- Jon Prosser:AppleのiOS 26に関する機密情報を不正に入手・流出したとして提訴された情報リーク関係者。
これらはすべて、技術的知的財産と企業機密に対するAppleの厳格な姿勢と、転職を軸とした機密漏洩リスクに対する警戒感を象徴する事例です。



