Appleは、米国・ケンタッキー州ハロズバーグのCorning工場に対し25億ドルを追加投資し、iPhoneおよびApple Watchの全てのカバーガラス(画面)を米国内で生産する体制を構築することを発表しました。これにより、全世界で販売されるApple製品に搭載される画面は、将来的に米国製へと移行することになります。この取り組みは、Appleが今後4年間で米国製造業に追加で1000億ドルの投資を行う「American Manufacturing Program」の一環であり、既に発表済みの5000億ドル規模の投資計画を6000億ドルに拡大するものです。
今回の動きは、元大統領ドナルド・トランプ氏の**「外国製チップや部品には最大100%の関税をかける」**という威嚇的な政策発言を受けたものです。ただし、AppleやNvidia、TSMCなど、米国内で実際に投資・生産を行う企業は関税からの免除対象とすることが示されており、Appleの追加投資と画面生産の米国移行は、その免除条件を満たす重要な措置と位置づけられています。
Tim Cook CEOは、Corningとの協業により「世界最大かつ最先端のスマートフォン用ガラス製造ライン」をケンタッキー州に実現すると述べ、Appleのグローバル製品ユーザーが今後購入するすべてのiPhoneおよびApple Watchに、米国製カバーガラスが使われるようになると語りました。


Appleはトランプ氏による関税圧力に対応し、画面の100%米国生産化を含む米国内での大規模投資を発表しました。これにより、免除対象企業として関税回避の立場を強化するとともに、米国製造拡大の姿勢を明確にしています。ただし、iPhoneなどの全米国製造への移行は長期かつ高コストな課題であり、現地アナリストも慎重な見方を示しています。
トランプ関税脅威とは? Appleへの圧力とその戦略的対応
トランプ氏は、iPhoneが米国国内で製造されていない場合、25%〜100%の関税を適用すると公言しており、特にiPhoneの組立をインドや中国などで続けることに強い異議を示しています。
- 2025年5月23日には、米国外で製造されたiPhoneに対し25%の関税を課すと警告を発し、Appleが製造を米国内に戻すよう圧力を強めました。これにより、iPhone価格が大幅に上昇する可能性も指摘されています。
- 2025年8月6日には、トランプ政権が半導体・チップ類に対して100%関税を課す方針を発表。しかし、Appleを含む米国での生産・投資企業には免除措置を適用すると明言しました。
さらに、iPhoneがインド製の場合でも、現時点では米国への輸出に対する25%関税からは暫定的に除外されており、今後その除外措置が維持されるかは未確定です。
ただし、アナリストやサプライチェーンの専門家は、iPhoneの完全な米国製造は現実的には困難であると指摘しています。Appleの製造拠点は中国やインドを中心とした広範なサプライチェーンに依存しており、米国内で同等の規模と効率を再現することは技術的・コスト的に大きな負担になります。



