2025年6月、レトロMac愛好家のダグ・ブラウン氏が、1997〜1999年に発売されたビージュ(ベージュ)筐体のPower Mac G3に搭載されたROMを解析中、驚きの“飛び出し写真”、いわゆるイースターエッグを初めて実際のマシンで表示する方法を発見しました。このROMには、開発チームと思われる複数人の集合写真(JPEGファイル)が隠されており、2014年にはファイル自体が注目されていたものの、Finder上で表示させる手がかりは不明のままでした。
ブラウン氏はGhidraによる逆アセンブルを行ったところ、SCSIマネージャーのコード中に「.EDisk」ドライバ(RAMディスク)を検索し、「secret ROM image」というボリューム名を持つディスクを探す処理を発見。合致すると、HPOE
リソースを「The Team」というJPEGファイルとしてRAMディスク上に書き出すようになっていたのです。


方法はシンプルで、エミュレータまたは実機において
- コントロールパネルからRAMディスクを作成
- 再起動後、「Erase Disk」で『secret ROM image』と命名
- ルートに現れる『The Team』JPEGファイルを開く
…という一連の操作を行うと、隠された集合写真がSimpleText等で表示されます。
なお、スティーブ・ジョブズの1997年復帰以降、Appleはイースターエッグの使用を禁止していたため、このG3のものが最後期にして“最後”のMac内蔵イースターエッグと考えられています。
Macにおけるイースターエッグとは?
「イースターエッグ」とは、プログラマーが開発したソフトやハードウェアに隠した遊び要素や余興で、Appleも90年代前半に多数埋め込んでいました。例えば:
- 写真・クレジット映像:開発チームの集合写真やスタッフの名前を表示させる機能。初期のMac ROMにもこの手法が見られました。
- キーボードやメニュー操作による隠し演出:たとえば“Help → About”からの隠しキー入力で、Adobe Photoshop(旧バージョン)で猫の絵が出現するなど、ソフトにコミカルな要素が潜んでいました。
- ファームウェア内の迷路ゲームや非公開機能:古いBIOSやパームトップPCに、隠しゲームやユニークなメッセージが実装されることも多くありました。
これらはエンジニアの遊び心と当時の文化の表れでもありましたが、品質管理やリスク管理の観点から徐々に規制され、現在ではほとんど見られなくなりました。