AppleのApp Storeエコシステムは2024年、開発者向け課金総額(developer billings)が 1.3兆ドル に達し、引き続き躍動している。Appleによれば、取引の約90%は自社が手数料を取らない構造で、開発者が収益化しやすい場として機能している。
● 堅調成長の背景
- 2022年には1.1兆ドルの売上を記録。2020年以降、前年比27~29%という高い成長率を維持。
- 物販・サービス(物理的商品や配車など)が大部分(全体の約81%)を占め、広告や課金モデルも成長している。
● 開発者への好巡環
- サブスクリプションモデルやアプリ内課金、多様なマネタイズオプションが普及し、開発者に安定収益を提供。
- ただし競争も激化し、ASO(アプリストア最適化)やユーザー獲得戦略の重要性が増している。
● 今後の展望
- WWDCなどでの新API・SDK整備、Vision Proなど新デバイスへの対応強化でエコシステムは拡張中。
- 一方、Epic Gamesなど大手スタジオとの訴訟や、独裁的な手数料などを巡る競争激化、EU・米中の規制強化によるルール変更の影響にも注視が必要。
App Store経済圏の変遷
- 2008年7月にローンチ。初期はアプリ数500本程度だったが、2013年には90万本に拡大、ダウンロード数は50億回を突破。
- 「There’s an app for that」のスローガンとともに、スマホ利用の波を巻き起こす。
- ダウンロード数が370億超、開発者の収益は累計で3200億ドル超と推移。
- 物理・サービス販売、サブスクリプション、広告収益といった多様化された収益モデルが確立。
- 2022年に1.1兆ドルを記録。成長率は毎年27〜29%で、小規模開発者の収益増が際立つ。
- 食料配達、旅行、エンタメ分野が急伸。App Tracking Transparencyなどプライバシー機能も強化。
- 2024年にはdeveloper billings総額1.3兆ドルに到達。多くの取引でAppleは手数料を取らず、商取引のプラットフォームとして成熟。
- 同時に、Epic Games訴訟やEUのデジタル市場法(DMA)などでApp Storeの独占的慣行が解体へ。Appleは代替決済やサイドローディング対応で対応余儀ない状況へ。
結論
App Store経済圏は、2008年の登場以来「単なるアプリ販売プラットフォーム」から「巨大な商取引エコシステム」へと深化し、2024年には1.3兆ドルに拡大。今後は、規制対応、競争構造の変革、新技術(AIやAR/VR)への対応が焦点となる中で、開発者・消費者双方にとってさらなる進化のステージが開かれようとしています。





