2025年4月30日、米連邦地裁はEpic GamesとAppleの長年にわたる法廷闘争において、Appleに対して厳しい判決を下しました。この判決を受けて、Epic Gamesは開発者向けの新機能「Epic Games Store Workshops」を発表。これにより、iOSアプリ開発者はEpic Gamesストア上に独自のウェブショップを設け、Appleのアプリ内課金(IAP)を通さずにデジタルアイテムを販売できるようになります。
判決では、AppleのApp Storeポリシーの見直しが求められ、次の3点が明確に命じられました:
- iOSアプリに外部決済へのリンクやボタンを設置することを禁止してはならない
- App Store外での購入に対して、Appleが手数料を課すことを禁ずる
- 外部決済を選択したユーザーに「危険である」と警告する行為を禁止する
裁判所が特に問題視したのは、Appleが外部決済に対しても27%という高額な手数料を設定していたこと、さらにユーザーに「外部決済は安全ではない」と表示していた点です。これらの行為が競争を阻害すると判断され、Appleには即時対応が求められています。
Epicが打ち出した「Workshops」では、アプリごとに年間100万ドルまでの売上には手数料が一切かからず、超過分にのみ12%の手数料が発生します。これは、AppleやGoogleの通常15〜30%の手数料と比較しても、非常に開発者寄りの仕組みです。さらにユーザーには、購入額の5%相当が「Epic Rewards」として還元され、今後の利用に充てることが可能になります。
小規模・インディー開発者にとってこの制度は大きな追い風となります。売上が100万ドル以下であれば完全無料で活用でき、さらに決済手段にStripeやShopifyなどを使えば運営コストの削減にもつながります。
こうした動きに呼応して、SpotifyもApp Store課金を回避する新たな仕組みを米国内で申請。アプリ内にサブスクリプション情報やプロモーションを表示し、ユーザーがウェブ経由で契約変更などをスムーズに行えるようになる見込みです。
Spotifyは「こんな基本的機能が4年も制限されていたのは馬鹿げていた」とコメントし、今回の判決を「過去最大の前進」と評価しました。
一方Appleは、判決には従う方針を示しつつも、控訴する意向を表明しており、今後の動向にも注目が集まります。
App Store課金とは?
「App Store課金」とは、Appleが提供するアプリマーケット「App Store」上で、アプリ内購入が行われた際に開発者から徴収する手数料を指します。通常、売上の15〜30%をAppleが受け取る仕組みで、これが開発者にとって大きな負担になっていました。今回の判決により、Appleはその独占的な収益構造の是正を迫られています。



